2019年5月6日月曜日

2019 白馬

白馬主稜の3峰から見た杓子

期日 2019/05/02~04
山域 北アルプス 白馬
ルート 白馬主稜〜小蓮華〜栂池
メンバー サトちゃん、R、うっちー、kazu

今年のゴールデンウイークは元号が変わるという一大イベントもあり休みの長かった方も多いのではなかっただろうか。かくゆう私自身も例年よりは長い休みをいただくことができた。

さて、そんな中、今年はどこに行こうか?などと愉快な仲間達と夢は広がる。

去年のGWは天候にやられ散々だった。
やはりここは去年のGWのリベンジという流れが順当だろう。ということで涸沢へ行くことが決定した。

出発日が近づくにつれ天気は良い方へとかわりそれに比例し我々のワクワク感んも高まっていった。

そんな前日、メンバーの一人が熱にやられ参加ができなくなった。
残念ではあるが病気には勝てない。次回に期待して今回は涙を飲んでもらった。

そして迎えた出発日。
朝一でMちゃんから電話が。私は冗談で『熱でもでたか?』というと『ぎっくり腰で動けない』との返事が。

これには私も流石に言葉を失った。

出発日を1日遅らせ様子を見ようかとも思ったのだがMちゃんは1日で良くなるとは思えないとのことだった。

もともとはこの3人(熱の病欠含む)のために涸沢へ入る予定だったのだがこうなってしまってはあまり涸沢に行く意味もない。

どうするか残りのメンバーと相談する。

結果、白馬の主稜が候補に上がった。

Rを連れて行くには多少の不安もあったが総勢4名、残りのメンバーには不安はない。
R1人ぐらいならば私が面倒を見れば済むこと。

ということで今回のGWは白馬へ。
さて今回の山行はどんな山行になるだろうか?w



05/01

 うっちーに迎えに来てもらいRを拾って出発。
サトちゃんとは道の駅白馬で合流。
合流後近くのガストで一緒に夕食をとり、道の駅にもどってから少し飲んで仮眠。
翌朝4時に猿倉に向け出発。

05/02

 猿倉に着くと雨が。

予報では朝から晴れてくるはずなのだがなかなか予報どうりにはいかない。
出発時間を遅らせしばらく様子を見ることに。

1時間ほど待つと雲の切れ目から青空も見えてきた。
まだ多少雨は降っていたが出発することにした。

猿倉を出発し白馬尻を目指す。

どうも私のペースが上がらない。体調が悪いのか?酒を持ちすぎ荷物が重いのか定かではないが体が重い。それに引き換えうっちーは絶好調の様子だ。ちょっとイラっとする。

白馬尻に着くとデブリの跡が生々しい。


デブリを越え主稜の取り付きを目指す。

ここからがキツイ。

主稜の核心はこの取り付きまでといっても過言ではないかと思うほどキツイw
とくに我々のように装備一式を持って歩く者には。

白馬尻をベースに空荷で行けば日帰りでも可能なルートだ。

否。

いつも言っていることだがそれは私の定義に反する。

一緒に行く皆んなが心の底で思っていることはわからない。(知っていても聞く耳を持たない)が食、住、登攀具がセットでなければ私のアルパインではないことに変わりはないのだ。

サトちんから聞いたのだがある先輩が最近このスタイルで山行をする者はもはや絶滅危惧種であると言っていたらしいが私はあえて絶滅危惧種であることに誇りを持とうと改めて思った。

なので私と山行を共にする仲間達は私と一緒に行く限り、嫌でもこのスタイルに付き合ってもらう。

重荷と急登で息を切らせながら先に進む。


この頃にはすっかり天気も良くなっていた。

途中何度か小休止を取りながら登る。



やがて8峰の取り付きが視界に入ってくる。

2年前に来た時より雪の量が少ない。

8峰の取り付きの手前50mほどの場所で雪面に大きなクラックがありこれを越えるのに難儀する。


うっちーがはじめに取り付き、もがきながらもなんとか越える。
うっちーがもがいてくれたおかげで更に登りづらくなる。

そんなうっちーは後続のフォローもせず勝手に先に進む。
私は土木工事さながらに雪を崩し後続のために道を作る w

私に続きRも越える。

せっかく作った道はもRがもがいて壊す。最後尾のサトちゃんは再度土木工事。



そして全員8峰取り付き前に。

8峰取り付き

燃料の補給をして装備を確認し、いよいよ登攀の開始だ。

ここから先はナイフリッジと雪壁の繰り返しだ




途中、こんな場所も現れる。



雪が付いていればなんでもない場所なんだがこうなってくると始末が悪い。
写真で見るより岩ももろく登りにくい。


この頃のうっちーはまだまだ余裕だった


6峰を越えたあたりから雪は多くなってきた。
だが、この気温で雪の状態は悪くリッジも少し油断すると足元から崩れていく。

サトちゃんを先頭にうっちー、R、私の順番で前に進む。
Rがリッジ上で雪を崩し足を取られバランスを崩すたびにヒヤッとする。

Rの足の置き方が雑でそれを注意する。

はじめは優しく言っていた私の声も回を重ねるたびに罵倒のようになっていく。

ここで言い訳するつもりもないが一応言わせてもらうと命がかかっているので自然に口調が強くなってくることを理解してもらえると助かる。

君には特にいろいろ教えてきたつもりだ。
私から聞いたことをしっかりと理解して自分の技術にしてほしい。

まあ小言はこのくらいにして先に進もう。


たぶん5峰から振り返って

ここから見る杓子はカッコイイ


この辺りからロープをだす。
雪の具合が予想以上に悪くRが不安だ。


ロープを使い出したのでペースが遅くなる。
出発の時間も遅れたせいで時間の方が気になりだしてくる。


先に進むにつれナイフリッジでの高度感がたまらなくなってくる。

緊張感と素晴らしい景色になんとも言えない気持ちになりテンションが上がる。

この気持ちを分かち合いたくうっちーに声をかけるがほぼ無視される。

あとで聞いた話だが恐怖と緊張で私の声はほとんどうっちーには聞こえていなかったらしい。しかし、うっちーはテンションの上がったおじさんがめんどくさいので無視していたと今でも私は思っている。



本当なら2峰まで行きたかったのだが時間的にもRの体力的にも3峰が限界と判断し1日目は3峰でビバークすることにした。

この日は他のパーティーも多く3峰の上はテントで賑わっていた。



雪壁を削りブロックを積んで整地をする。
疲れた体にはこの作業も楽ではないw

ここは一番若くて体力のあるうっちーに頑張ってほしいところだ。
なのではあるが、うっちーの土木作業が頼りない。

やはりこういった場面では経験に差が出てしまう。
おじさん達2人のうざい講釈に耐えながらそれでも懸命にうっちーはスコップを振っていた。

すまん。うっちー

Rの自慢の食事に皆で舌鼓をうち、流石に宴会とまではいかないが重荷に耐えながら上げた酒は格別だった。

05/03

4:00 起床
6:00 出発

私にとっての令和最初に見る日の出


準備を済ませ気がつくとこの日この場所にいた人たちは誰もいなくなっていた。
我々が最後の出発になった。


出発前

我々はこの日大池まで縦走予定なのでそんなに慌てることもなく少し遅めの出発にしていたが大雪渓を下山するつもりであれば少しでも早く出発したいところだ。


2峰へと向かう


こんな場所でも朝一の雪は締まっていて歩きやすい


2峰の雪壁を登る。

 なかなかの角度だ。高さが違うが最後の雪壁と角度的にはあまり差がないと思う。

最終の雪壁前の良い準備運動だ。

2峰を越へいよいよ最後のメインイベントに。

取り付きで上を見上げると雪庇はほとんどなく最後の雪庇を崩した隙間は確認できなかった。

前回来たときはフリーで登ったのが今回はロープをだした。
事情はいろいろあるのだがw

とりあえず私がトップで登りRをフォローする。

50mのロープでは1ピッチで上がれないので途中で1度切る。
足元は悪く雪は崩れる。
支点になるような物ももちろん無い。

バイルを雪壁にさすがグズグズでほぼ利いていない。
それでも無いよりはましなのでセルフをとる。

ボディビレイでRを確保し登ってもらう。
この雪の状態ではRはマジで落ちかねない。
ビレイする手にも知らず知らず力が入る。
体勢も悪くおじさんには堪えるw


Rにもセルフを取らせ最後のピッチへ向かう。
そして山頂へ。

完登を喜ぶ暇もなくビレイの準備に入る

もちろん山頂には支点は無い。

バイルを刺し支点を作りセルフをとる。
バケツを掘ってビレイの体勢をとる。

Rを登らせる。

先程に比べ体勢がしっかりしているので安心だ。


R よく頑張ったよ

そして、続きサトちゃん、うっちーも。




カッコいいよ!サトちゃんw



この位置で少し右にトラバースするのだがここがいやらしい。
うっちーの顔は少々引きつっているように見えたw


うっちーが生まれる瞬間 www

全員無事登攀。



一旦、小屋まで下り休憩することに。
実は休憩よりもこの日の夜の酒をここで確保することの方がより重要だったのだがw

小屋の中に入りカップラーメンをいただく。
いつも思うのだがカップラーメンがこんなに美味く感じる瞬間は他には無い。

小屋には前日からの行動がほぼ同じだったパーティーもいた。
要所要所で声をかけてくれた気の良い人たちだった。

お互いの登攀を讃え合いしばしの談笑を楽しんだ。

リーダーの男性の方とは特に話が弾んだ。
連絡先も交換したのでもし機会があれば一緒に行って是非勉強させて欲しいと思う。

それと私のホームである御在所にも是非とも来て欲しい。

そのまま彼らとはお互い残りの行程の安全を約束し小屋で別れた。

我々は小蓮華を越え大池までの縦走だ。

ここから先は危険な箇所も少なくふわっと縦走のつもりだったのだがそうはいかなかった。

予報では風が強くなることは知っていたが予想以上に爆風だった。

油断すると身体ごと飛ばされそうな勢いで風は吹いていた。



ところであいかわらず私の調子が悪い。

たいした登りでも無いのに足が止まる。
サトちゃんにさえ着いていけない。

歳なの?
最近まともに歩いていないからなのか?

アイスクリームにはまり毎日アイスを食べ太ったせいなのかはわからないが。

サトちゃんはそんな私を見ながらニヤニヤしていた。

不甲斐ない私を見るのが楽しいようだ。

そんなことにかまっていられ無いほど身体がキツイ。

それでもなんとか爆風の中大池までたどり着く。やれやれだ。

昨日とは違い時間もあるので土木工事にも力が入る




こんな頃から風も落ち着き始め日差しが心地よい。

夕食の時間にはまだ早い。

と、なれば宴会のスタートだ。

昨日、今日の山行を振り返り話がはずむ。本来なら涸沢で一緒に過ごす仲間のことも。

TちゃんとMちゃんは最近イカばかり釣っていたのできっとイカの祟りにあったんだろうとも盛り上がった。

後日、本人もイカの祟りじゃと言っていた。

うっちーは来られなかったみんなには申し訳ないが結果的には白馬主稜ができてよかったと、そして。私自身も『シビれる様な山行とはこういう山行なんですね』のうっちーの一言は嬉しい一言だった。

結果的に見れば涸沢に行くよりもうっちーにはいろいろ勉強してもらえたと思う。
それと同時にサトちゃんとの主稜の約束も果たせてよかった。

最後の夜を仲間たちと楽しく過ごし少し早めの就寝についた。

05/04

適当に起床しダラダラ過ごす。


朝の大池から見る景色は幻想的でとても美しかった

 朝食ができるまで少し時間があるので、うっちーに雪稜での支点の取り方、確保など少し講習することにした。うっちーは嫌そうだったがw

朝食を済ませ撤収準備をして下山につく。



途中。雷鳥も現れる。

帰ってからSNSをみていると雷鳥との遭遇をたくさん目にした。
このGWは雷鳥もサービスしてくれたのだろうか?



そして無事、栂池のゴンドラ乗り場に到着。

行きに猿倉であったタクシーの運転手さんに名刺をいただいていたので連絡する。
我々がゴンドラを降りるとすでに一番良い場所に車をつけて待っていてくれた。

この運転手さんからはいろいろな話を聞けた。
なお、この運転手さんは自称白馬一のおしゃべり運転手らしいw

なかでも、特に印象深かった話は昔白馬のことを大蓮華と呼んでいたことや、春になると山肌に馬の模様が現れこのが合図となり田んぼの代掻きを始めること。

私は馬の模様は残雪でできる白い馬の模様と思っていたがそうではなく雪が溶け岩肌が馬の模様になるとのことだった。運転手さんは絵まで書いて説明してくれた。

そのおかげでその馬の模様の位置を私も確認することができた。

この代掻きの代と馬を合わせて 代馬と呼ばれたことから今の白馬になったという話だ。

この話にはちょっと感動したw

下山し温泉につかり定番のソフトクリームを食べ帰路に着いた。
サトちゃんは例のごとく1人渋滞に立ち向かって帰っていた。

2年前に来た主稜に比べるとメンバーの力量もコンディションも悪い中で無事山頂を踏み山行をこなせたことがとても嬉しく思う。

余談だがうっちーと日焼け勝負をしていたことを今になってとても後悔しながらこのブログを書いている。

それでは今回はこのあたりで。







































































2 件のコメント:

  1. カッコいいさとちゃん、リベンジおめでと☆
    R、よくがんばった☆
    シビれたウッチー、今度は下山後は電気風呂がいいぞ☆
    親方、お疲れちゃんでした☆
    当面のあいだアイス禁止な(笑)

    返信削除
  2. アイス我慢してますw

    返信削除

錫杖岳 前衛壁 3ルンぜ

 期日 2024/02/24(土) 山域 北アルプス 錫杖岳 前衛壁 3ルンぜ メンバー Kazu , くま , サトちゃん , タカ 計4名  前週末に行った地獄尾根の疲れがなかなか抜けず、今週末は勝手に完全レスト日として嫁との攻防を制しソファーから一歩たりとも動かないで過ごせ...