2020年2月27日木曜日

西穂高岳 西尾根 敗退

第1岩峰取り付き手前

昨年夏の源次郎いらい久しぶりのブログ更新だ。

ごくごくわずかな「TO THE LIMIT」ファンの方々大変お待たせいたしましたw

年末年始はずっと山には入っていたのだが槍ヶ岳中崎尾根敗退。黒百合ヒュッテベースの飲み会。それ以前もどこかしらの山に入ってはいたが内容も乏しく執筆活動にも力が入らず今日に至る。

年末の中崎尾根に至っては写真すらろくにない有様だ。

今回、久しぶりに書きかけたので西穂の前に少しだけ前回の槍の話もしておこう。

昨年の年末はそれまでの暖冬から一変して大型の寒波の襲撃により大荒れの予報に
参加メンバー全員で話し合いいったんは中止の方向で折り合いがつく。

それでも私は30日の好天予報がどうしても捨てきれず、うっちーと2人で決行することにした。



出発は29日の夜。
新穂高に到着後そのまま出発。予定は夜明け前に槍平に到着。
荷物をデポしてアタック装備で槍ピストン。

寝ていないからなのか?年末業務の多忙による疲労か?只々老化か?

おまけに寝ぼけてルートを間違え(恥ずかしいので詳しく書かないが)
1時間ほど時間もロスト。

睡眠不足と重荷にあえぎ、やっとの思いで槍平にたどり着いたのは7時過ぎ。
私に至っては歩行中持っているストックを突き立たまま置いてくるほどの寝ぼけぶりだ。

翌日からは間違いなく大荒れ。無理に突っ込んで避難小屋まで行けたとしても
暫く閉じ込められる可能性も大。

結局奥丸までで終了。

それでもその日の天気は最高だった。

奥丸から見た景色はとても素晴らしいものだった。




ずさんな山行計画により散々な山行にはなってしまったが、この景色が見られただけでも
来て良かったとは思う。

翌日、朝目が覚めるとテントは雪に埋もれ中はかなり狭くなっていた。
大雪の降る中うっちーとリベンジを約束し下山した。

さて、それでは前置きはこのくらいにして今回の山行記録に取り掛かろう。

2020/2/23~24
山域 北アルプス 西穂高岳 西尾根
メンバー サトちゃん、うっちー、Mg(撮影)、Kazu

前夜、いつも通りうっちーに迎えに来てもらう。
前回の槍の反省を生かし少しでも早く出発して睡眠時間の確保に努める。

到着するとサトちゃんはすでにお休み中だった。
サトちゃんだけ睡眠時間がたっぷりなのもしゃくなのでとりあえず起こして
一緒に飲もうと誘ってみる。
おバカなサトちゃんはまんまと私の策にはまり一緒に飲む。

その後、私はサトちゃんより先に就寝。

23日 4:15 起床
    6:30 Mgと合流後登山届を提出して出発。

 風雪の強いまだ暗い中、穂高平に向かって進む。

なかなかのバットコンデションで中止も頭をよぎったが、本日の予定は森林限界手前のBCまで、明日の強風は覚悟しているがとにかく天気は良さそうなので予定通り第1岩峰まで行くことができれば、現地での判断でその先の行程を決めることにし先へ進んだ。



林道をしばらく進み穂高平に出ると爆風の洗礼を受ける。降雪もさらに激しさを増す。
この場所でこれだけの風雪だと先が不安になる。


建物の陰に入りワカンを装着し取りつきへ向かう。

西尾根の取り付きに着くと地形的にも風は少し落ち着いた。


有刺鉄線を乗り越え西尾根に取り付く。


ここ西尾根には要所要所に赤テープや看板がありルートはわかりやすい。

とはいっても尾根を進むだけなのでそんなに気にすることなく上に向かって進んでいけば
自然に尾根がやせていき目的の場所にたどり着く。

取り付き直後からなかなかの急登だ。もちろんこんな日に登るパーティーもなく
トレースもない。

初めは膝ほどだったラッセルも次第に腰、深いところは胸ほどになる。


4人で隊列を組み交代しながら進む。
最初のうちは皆久しぶりのラッセルに心躍らせ童心に帰り我先にラッセルに取り組む。
歌声さえ出るほどに。

しかし、そんなことが楽しいのはものの5分だ。
そこから先は只々辛く苦しい。

最初のころは頻繁に出ていた「ラッセル変わりましょうか?」の掛け声も次第に
聞こえなくなる。
こんなころから私のラッセルタイムが心なしか長くなったのは私の思い過ごしだろうか?

とにかく進まない。
高度を100mあげるのに1時間ほどかかってしまう。

時折吹く爆風は恐ろしいほどに視界を奪う。
数十秒ほどだが本当に目の前が真っ暗になる程の風雪だ。

やっとの思いで1940m小ピークに着いた時には私の心はすでに折れかかっていた。


最近M君との山行で鍛えられて強くなったのか?
サトちゃんは予定より少し遅く脚が「つる」
つった足の痛みを痛み止めを飲んで止めようとするサトちゃんには驚いた。
その痛みは痛み止めで止まるのか?

うっちーはこの辺りから無言。彼は都合が悪くなると心を閉ざす癖があるようだ。

Mgはずっと悪態をつきながら、そのイライラをパワーに変えて前に進む。
そんな様子を後ろから見ていると少し微笑ましく思えたw

この時点で時間的にも予定BCまでたどり着くことはほぼ不可能になっていた。

時折訪れるビバーク適地を横目にあとはどこまで耐えられるか自分たち自身との戦いだ。

皆の気持ちも想像できたが私は時間の許す限り少しでも進みたかった。

こうやって書くとなんだか格好が良いがそんなことではなくただの意地だ。
なんとか予定地まで行かなければ敗退はほぼ確実。明日につながる希望も無い。

16時30分。
2200m 地点 時間的にも体力的にも残念ながらここがリミットだった。

すぐに幕営の準備に取り掛かる
雪は新雪で整地は楽だがブロックを積むことはできず風がもろにテントを煽る。

幕営準備中も強風にさらされ身体の体温は一気に下がり、とにかく寒い。

なんとかテントの設営も終わりテント中に入る。

「こたつ」と「ミカン」こそないがそこは天国のようだったw

各自着替え等を済ませ質素ではあるが宴会の準備に取り掛かる。


皆で鍋を囲み酒を飲みながら今日一日の自分たちの頑張りを自画自賛する。


誰も明日のことを口にしないので、あえて私から口火をきる。

第1岩峰の取り付きまではあと200m。

だが、ラッセルして進むには今日のことを思うと2時間近くはかかるだろう。
それに加えてこの強風。
下山にはロープウェイを使用するので時間的にも制限がある。

これだけの良い条件がそろえば敗退の理由には困らない。

正直悔しい思いは皆同じであろうが今現在の疲労感を思うと「ほっと」していたのも
正直なところ事実だ。

残念ではあるがそうと決まれば気持ちも楽になり酒はすすむ。

アルパイン初心者のMgにアルパインとは何かを皆で熱く語る。
かなり間違った情報が多いので何を話したかは内緒だwww

外に出てみると相変わらず風は強いが空には満点の星空がみえる。
明日は天気がよさそうだ。

宴会の最後は今回の山行のリベンジを約束しお開きに。

夜中時折爆風で目は覚めたがそこまで寒くもなく眠むれた。

24日

AM 5:00 起床~撤収

朝食は昨晩の鍋の残りにうどんを入れて食べた。

ここ最近食事担当はうっちーがしてくれている。
特に気の利いた料理ではないが素朴で値段も安くとても美味い。感謝だ。


全ての撤収を終え時間もあるので第1岩峰まで行ってみることにした。


初めて見る第1岩峰は私の想像より大きく迫力があった。
やはり目前にすると登攀意欲を掻き立てられる。


それだけに悔しさもます。

それでも、いつまでも眺めていても仕方がないので下山することにした。


西尾根の急登をシリセードを交えながら一気に降りる。
昨日10時間近くかかった行程がものの2時間ほどで取りつきの末端に。

有刺鉄線をまたぎ穂高平で一服し本当なら乗っているはずのロープウェイの下をくぐり
新穂高に着いたのは14時すぎだった。

厳冬期北アルプス。

やはり自分の思い通りにはさせてもらえない事を再度確認する結果になってしまった今回の山行。

結果的に敗退にはなってしまったが

それでも仲間と共に苦しみ、もがき、精一杯やれたことは良い思い出になる。

敗退癖がつかないように、まだ特に予定はないが次回の山行はキッチリこなせるように
準備したい。

それでは今回はこの辺りで。








































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