2017年7月18日火曜日

明神岳東稜 

ラクダのコルからの明神岳主峰

期日 2017/07/15~16
 山域 北アルプス 穂高 明神岳 東稜〜主稜
 メンバー KAZU 、サトちゃん、Tちゃん、Mちゃん

 すっきりとしない天候の中7月の連休が近づいてきた。
私の仕事の都合もあり連休といっても土日の2日間を山行にあてることが精一杯だった。

そんな私の都合もあって2日間は確保したものの行き先もメンバーも何も決まってはいなかった。

誰を誘おうか?どこに行こうか?

 せっかくの連休。少しは大きな山に入りたい。
北アルプス、穂高あたりなら行けるかも。
しかし連休。混雑しそうだ。

そうだ!明神岳に行こうw



 明神あたりならそんなに人はいないかも?っと、なんの根拠もない理由から今回の山行の行き先は明神岳に決定。ルートはメンバーが決まってから考えることにした。

さて、誰を誘おうか?

私の大好きなDaiは仕事の締め切りという大きく厄介なルートに取り付いているため今回は誘えない。

とりあえず、寂しがりやで意外と暇人なサトちゃんを誘う。
予想通り、、、。

Tちゃん、Mちゃんにも声をかける。
Mちゃんは乗る気だったが、少々ビビリなTちゃんは腰が重い感じだった。

だが、Mちゃんの強力な押しがあってTちゃんも腹をくくり重い腰をあげることになった。

メンバーも無事決まり行き先も決まった。

今回はサトちゃんのアルパイントレ。Tちゃん、Mちゃんのアルパイン体験ツアーw。
南西尾根からでは少々物足らないので東稜を登り主陵(南西尾根)からの下山を選んだ。

15日
AM 6:30 上高地到着。

 前日まで天候にはヒヤヒヤさせられたが、この日は予想以上に良い天気となった。
明神館の前を通りすぎ、明神橋の前に立つとこれから登る明神岳が美しく見えた。


 なんとか大学のなんとかセンター?なにやら小難い名前の建物の横を通り丸太橋を渡ればいよいよ登山の始まりだ。
 
 ひょうたん池までは、踏み跡も明瞭でマーキングもそれなりにあるので迷うこともないだろう。しばらく草むらを進むと下宮川沢に出る。結構なガレ場で歩きづらい。


 沢に出た頃から太陽の熱い歓迎を受ける。風もほとんど無く蒸し風呂のような状態だった。アルパイン初級ルートとはいえやはり一般道とは違う。水場もないので2日分の水5Lは、おじさんな私には少々堪える。それでも今日はラクダのコルまでだ。なのでそんなにたいしたことはない。はず? そんな思いが少しでも頭を過れば、自然に酒とツマミは増える。それもまたおじさんの宿命なのだ。

 蒸し風呂状態の中、重い荷物に喘ぎながらのガレ場の通過はなかなか堪えた。
ふと、Mちゃんの顔を見ると既に少し老けていた。Mちゃんは永遠の23歳(自称)らいしいがとてもそうは見えなかった。

 
 足元が気になり下ばかり見て歩いていたら迷うはずのない長七のコルへの分岐をうっかり見落とし少し行き過ぎてしまったようだ。適当に歩きやすそうな場所を選んでトラバースすると踏み跡と赤リボンが目に入った。そのまま少し下りひょうたん池に向かって登り返していると右足の太ももがつった。それは、私がおじさんだからか?それとも荷物が重いからなのか?はたまた脱水からくるものなのか?Mちゃんに塩の錠剤をもらい小休止をした後はつることはなかった。どうやらおじさんだからでは無くちょっとした脱水(塩分不足)のようでホッとした。ちなみにサトちゃんも同じようなタイミングで足がつっていたがサトちゃんは塩の錠剤を飲んだその後も少し辛そうだった。なのでサトちゃんは脱水ではなく、おじさんだったからだと私は密かに思っていた。これはナイショの話だ。

ひょうたん池到着。


いよいよここからが今回の山行のお楽しみゾーンだ。


第一階段の手前でハーネスを付け登攀に備える。


ここからは、パーティーを2つに分け登攀する。KAZU&Tちゃん。サトちゃん&Mちゃん。

 ロープを出すか出さないか少々微妙な感じもあるが今回のメンバーの力量から考えると当然出すべきなので、しっかりとロープを使って第一階段を通過する。

 第一階段は名前の通りしっかりとした階段状になっていた。
草付きにはバイルが有効なので今回はそれぞれにピッケルなどを用意してもらってきた。
あまり登り慣れていないTちゃん、Mちゃんにはやはりその威力は絶大だった。


第一階段を通過後ラクダのコルまでは後少しだが、不慣れなアルパインに皆さん少々お疲れのようだった。

 第一階段通過後もロープはつないだままで歩いた。ラクダのコル手前の最後の小ピークに立った時のTちゃんの瞳は見たことのない瞳になっていた。それは例えるならば子犬のように可愛く潤んだ大きな瞳になっていた。

 時間的にも少し遅くなってきたので第一階段通過後、私自身のペースが無意識に少し早くなっていたようだ。私とロープで繋がれたTちゃんは私に遅れをとらまいと必死で着いてきてくれていたらしい、そんなことは遠慮せずに言ってくれれば良いものを「言わない?」「言えない?」そんなTちゃんが少しだけ可愛く思えた。そんなTちゃんだが、ラクダのコルに到着後、『首から振り分けたロープがハイマツに引っかかり、私とつながったロープに引かれ、いっそこのまま首でも縛れば楽になれるかも』と、シャレにならない冗談を言っていた。

ラクダのコル到着。


 コルには先行パーティーが1組。一等地はすでに完売だった。
それでも良さげな場所がもう1箇所残っていた。東稜のビバーク適地としてラクダのコルは有名だが実際には2張り程度しか快適な睡眠を約束された場所はないのだ。
私たちの人数は4人。ツェルトは2張り。適地は残り1箇所。ジェントルメンな私とサトちゃんはレディーのいるTちゃん達にその場所を譲ったことは書くまでもないことだ。


 私とサトちゃんはそれでもマシな斜面にツェルトを張り、マットごと斜面を滑るのをこらえながら共に一夜を過ごした。
 
16日
AM 6:00 ラクダのコル出発。

バットレス取り付きは目の前だ。

私のリードで登攀を開始した。まだまだ天気も良く気持ちの良い快適なクライミングだ。
ランニングをとるためのハーケン類は信頼できるものは少なかった。時折カムを交え高度を上げていった。各ピッチの終了点の支点だけはそのまま使うにはあまりに心許ないのでピクナルやクラックなどからそれぞれ補強して使った。



 続いてサトちゃんもリードで攀ってきた。もう少し苦労して攀ってきてくれれば私の登攀能力の凄さがみんなに伝わるところなのだが、残念なことに余裕のクライミングだった。

 
 Tちゃんも口ではいろいろ言ってはいたが見る限りとても良いクライミングだった。
Mちゃんに至っては余裕すら感じられた。2人とも大したものである。




そして、主峰頂上へ。

お約束の記念写真をみんなで撮り、しばし、それぞれ感傷に耽る。

残念ながら予定どうり天候が崩れ出す。下からガスが湧き上がり、風が強さを増し始めてきた。16日の予報は雨だった。

 これ以上天候が崩れる前に南西尾根に取り付き安全地帯に逃げたかった。
主峰から降り、2峰に取り付く。2峰はそこら中に支点が乱立し正しいルートを把握するのが少々面倒だった。2ピッチの登攀を終了し2峰の頂上へ。さらにガスが濃くなり風は強さを増してきた。そそくさと2峰を後にし3峰を巻いた。3峰を巻いたところに風を避けられる岩陰があり少し休憩をとった。その頃すでに辺りは真っ白になり視界は10Mもないほどだった。

 下山を再開し踏み跡を辿る。

 辺りはガスで真っ白なため目指す4峰も5峰も全く見えない。
その時、ガスの薄くなった場所にうっすらと峰が見えた。一瞬ホッとし更に踏み跡を進む。しばらく進むと私の中にないやら違和感が。そのうち踏み跡も消えた。
私はハッとして地図とGPSを使い現在位置を確認した。尾根が一つずれていた。
しまった!3峰からは中明神沢側にもう一つの尾根が派生している。その尾根に吸い込まれてしまっていたのだ。幸いにも100Mほど進んだところで気付いたので大事には至らなかったが、これは完全に私のミスだ。視界不良の中で誰がつけたかもわからない踏み跡を辿り。別の尾根が派生していることも知っていたはずなのに休憩後の再出発時になんの確認もせずにうっすら見えた峰を4峰と思い込み進んでしまったのだ。今思えば風もかなり吹いていたようで(後日調べたところ20M近く吹いていたようだ。)瞬間的に吹いていた風は体感的にはもっと強く感じた。その上雨が強くなることを恐れ自分でも知らないうちに気持ちに焦りが出ていたのだろう。

地図で見てもわかるように主稜とその尾根では進む方角が90度近く違う。それでも視界が利かない場所で特に休憩後(休憩中に動き回ると方向感覚がずれる)などは特に注意しなければならない。私は数年前の八ヶ岳で起きた某大学山岳部の遭難事故を思い出した。下山時に全く反対側に下山し遭難したのだ。確かあの時も休憩直後に反対側に進んでいた。

降りた斜面を登り返し3峰の基部まで戻り進むべき方向を修正した。
しばらく進むとガスの切れ目から4峰、5峰が見えた。
まるでこっちであってるよ。とでも教えてくれているかのように感じた。

4峰、5峰を越え無事、南西尾根に入り樹林帯に入ると風も落ち着き安全地帯に入ったことで安堵した。

そのあとは約800mほどの急斜面を降り岳沢の登山道に合流。上高地はもうすぐそこだ。
そんな頃天気は回復し太陽も顔を出していた。

無事、上高地に到着しソフトクリームを食べ帰路に着いた。

ソフトクリームを食べながら無事に下山できたことに感謝した。


無事に帰って来たものの今回の山行は反省すべき点が多かった。
プチアルパインなどと少々舐めてかかり、荷物も重すぎ体力を無駄に消耗させ、挙句、知っている場所なのでろくな確認もせず進みルートをロストしかけた。

今回の山行をきっかけにもう一度初心に戻りしっかりとした登山を心がけたいと深く思う。

それでも、良い仲間たちとの山行はとても楽しく、気持ちの良い山行だった。
一緒に行ってくれたサトちゃん、Tちゃん、Mちゃんありがとう。

Tちゃん、アルパインはこりごりっす。なんて言ってたけどまた是非ともね。





























2 件のコメント:

  1. 祝☆ブログ開設!

    結構大変だったみたいだけど、
    結果オーライ&いい経験だったね。
    サトちゃん、M&Tちゃんもお疲れでした。



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    1. ありがとうございます。
      ブログ、いつまで続くかわかりませんが頑張って続けていきたいと思っています。

      削除

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