2017年12月5日火曜日

阿弥陀岳北稜〜赤岳主稜 継続登攀 

赤岳 主稜 取り付き


期日 2017/12/02
山域  南八ヶ岳 
ルート 阿弥陀岳北稜〜赤岳主稜 継続登攀
メンバー Dai,Kazu

 11月も中旬を過ぎるとあちらこちらで積雪の情報を目にする。
SNS等で雪山の写真を見ていると、どうしても山に行きたくなる。

だが、12月に入ると忘年会という名の飲み会がすでに毎週のように私の週末の予定を埋め尽くしている。毎年思うことなのだが一体何をそんなに忘れたいのか不思議に思う。

ここしばらく忙しかった仕事も少し落ち着きこの週末は休めそうだ。そして幸いなことに、この土曜だけは予定がなかった。日帰り山行ではあるが雪山シーズンインのチャンスだ!



今回の山行の主な目的はアイゼントレ。
雪と岩さえあればどこでも良いのだが最近あまり山に行けていないので少々たるんだ体にムチを入れるべく少しハードな山行を計画してみた。もちろん今回のパートナーもDai。

そして、計画はこうだ。

美濃戸 〜南沢〜行者小屋〜阿弥陀岳北陵〜中岳〜文三郎〜赤岳主稜〜地蔵尾根〜行者小屋〜南沢〜美濃戸

計画書を作成しDaiに送り返信されてきたのは『いいんじゃない』の一言だった。
ずいぶん軽く返事をしたことを後に後悔するとも知らず。

12/01

仕事を終え支度を済ませ19:30にDaiを迎えに行く。中央道をぶっ飛ばし一路八ヶ岳へ。
途中、SAで夕食をとることに。Daiは相変わらず味噌ラーメンを食べていた。私が『いつも味噌ラーメンだね』というと『いつもかき揚げそばだね』という返しだった。
そう、私は高速SAのかき揚げそばが好きなのだ。

23:00 美濃戸着。

私の予想とは違い、駐車場に車はほとんど無く閑散とした雰囲気だった。
少しだけ酒を飲み就寝についた。

12/02

3:00 起床
4:00 出発

先ずは行者小屋を目指す。
あまり好きではない南沢を暗闇の中ヘッデンの明かりを頼りに歩く。

30分ほど歩くと登山道は所々凍結し始めてきた。暗く足元が見ずらい為アイゼンは早めにつけた。半年ぶりに履く冬靴とアイゼンは少々重く感じた。

あまり汗をかきたくないのでスローペースで歩く。

さらに1時間ほど歩くと雪の量も増え冬山らしくなってきた。

暗闇の中ヘッデンの明かりが辺りに積もった雪の結晶に反射しダイヤモンドを散りばめたようにキラキラと輝き幻想的な雰囲気だった。

樹林帯が切れ、辺りもうっすら明るくなってきた頃、雪化粧した八ヶ岳の山々が美しい姿を現した。



6:30 行者小屋

朝食をとり登攀の準備を済ませ阿弥陀岳北稜に向かった。

本来なら分岐の道標を少し過ぎた辺りから北稜に取り付くのだが出だしの登りがきついので夏道を使って高度を上げ適当なところからトラバースして北稜に取り付くつもりだったのだがトラバースのタイミングを逃しズルズルと夏道を登ってしまい、ジャンクションピークが横に見える辺りまで上がってしまった。

仕方がないので少し強引な感じでトラバースし、そのままジャンクションピークを目指した。


 無事、トラバースし北稜に合流。
ジャンクションピークを過ぎ急峻な尾根を進む。
風は無く太陽の光が心地よい絶好のクライミング日和だ。

急峻な尾根には息を切らせたが、久しぶりの雪の感覚は私の気持ちを高揚させた。

第一岩峰の取り付きに到着。

岩峰自体には雪はほとんど無かった。

いつものようにDaiとジャンケンしジャンケンに勝った私からのリード。


第一岩峰取り付き

 久しぶりのアイゼンでの登攀に少し違和感を感じたが2ピッチも過ぎれば感を取り戻しクライミングを楽しむ余裕も出てきた。

空は青く。遠くにはアルプスの山々、恥ずかしがり屋の富士山も顔を出し素晴らしい景色だった。

第二岩峰も問題無く越え、終了点から阿弥陀岳の山頂は直ぐそこだ。

10:00

約1年ぶりの阿弥陀岳山頂だった。
そういえば、昨年の暮れに北西稜をやったときも素晴らしい天気だった。どうやら私は阿弥陀とは相性がいいようだ。

Daiに年賀状用の写真撮影をしてもらい阿弥陀岳を後にした。

※注意 この写真は年賀状用ではありませんw

阿弥陀から下山しているとこの日始めて登山者とすれ違った。
絶好の日和のはずなのだが意外に登山者は少なかった。

中岳のコルで小休止をとり行動食と白湯を口にした。

ここで、若い2人組の登山者が中岳方面から歩いてきた。
挨拶を交わし、ふと目線を下に向けると2人のうちの1人は夏靴にチェーンスパイクをつけて登っていた。聞こえてくる会話からあまり山に慣れている雰囲気ではなかった。

聞けば、そのまま阿弥陀岳に登るという。
とっても大きなお世話なのだが、私は『その装備で行くのはどうかと思うよ。』と、声をかけ、Daiも『下山のこと考えて無理しないように』と、声をかけていたが2人にその声は届か無かったようだ。2人はそのまま阿弥陀岳に登って行った。

私が山頂から下山する際も雪のつき方があまり良く無く所々凍結もあり、いやらしい感じだった。チェーンスパイクでちゃんと下山できたのだろうか?

山は自己責任というが事故を起こせば自己責任で済ま無くなる。
結果たくさんの人に迷惑をかけることになる。

山、特に雪山に入るということは、自分たちが危険な遊びをしているということを認識してほしい。その危険のリスクを減らすための知識を持ってほしい。冬山に入る以上、無知は罪なのだ。

ごちゃごちゃと煩いおじさんになってしまったが、山が好きで山に集まる同じ仲間として皆が事故のない楽しい山行にしてほしいと切に願う。

そんなことを思いながら私達は先に進んだ。

阿弥陀岳から中岳方面


中岳を越え文三郎に合流する。
そのまま文三郎を下山し赤岳主稜の取り付きを目指す。

12:00
主稜取り付き。

当初の計画で12:30までに取り付きにつけなければ安全のため中止し文三郎でそのまま下山することになっていたが、誰もいないのでここまでは渋滞、順番待ちも無く。ほぼ、計画書どうりに行動することができた。

文三郎から取り付き点を見ると4人ほどチョックストーン手前で準備していた。

この時間帯なので取り付きに人はいないと踏んでいたがここへきて計画にズレが出た。

主稜取り付きへのトラバース

Daiと相談しタイムアップを15:30に設定し、行けるとこまで行くことにした。
先行パーティーは思いの外、手際の良い人達で30分ほどの待ちで我々もスタートすることができた。結果的には丁度良い休憩時間となった。

12:30

今度はDaiのリードでスタート。
主稜取り付き部のチョックストーンを越えれば前半の核心部は終了だ。
両足を大きく広げステミングで越える。
チョックストーンの上に上半身が出れば、、、。雪が無い。
チョックストーンから上はひどくガレていて手がかりが乏しい。
雪が付いていればアックスを打ち込んでサラッと上がれる場所なのだが、少々無理な姿勢だが左側の岩にアックスをかけて越える。その先は後続のパーティーもいるので落石を起こさないように慎重にす進む。後半6か7ピッチ目の岩峰まではほぼ歩きに近い。それでも雪が少なく岩がもろいので所々いやらしく感じる場所はある。

1P終了点近く

2P目 

ここで、Daiのカメラの電池が力つきる。
私のiPhoneでその後の撮影をと思ったのだが結果1枚も撮ることはなかった。
なので、ここから先は写真が無いので私の拙い文章から想像力を最大限に使って読んでもらえれば幸いだ。

それはそうと、こうしてブログが書けるのも、いつもDaiや一緒に行って写真を撮ってくれる友人達のおかげだ。ありがとう。感謝している。

後半部の核心で先行パーティーに追いつく。
どうやら正規のルートでは無い場所を登攀するようだ。

そのルートにも惹かれたのだが、待ち時間が惜しい。
Daiの判断で時間的に制約のある我々は正規のルートを行くことにした。

先行パーティーをかわして先に進む。
後半部の核心はDaiのリードだ。Daiのコールを待って後に続く。
そして終了点へ。この先はロープは不要と判断しロープを外す。

そこからは私がトップで進んでいたのだが正しいルートがわから無い。というのも実は私が最後に主稜にきたのはおそらく20数年前のことだ。

Daiにルートがよく分から無いと告げると、Daiも忘れたらしい。答は案の定『どこでもいいから適当に登っていけば?』との事。私もどちらかというと適当な方だが『Daiも相当なものだな。』っと改めて思った。

それでも、どこからでも行けそうなのでなるべく真っ直ぐに進む事にした。
しばらく進むと一般道につけられた鎖が目に入る。

そのまま上がっていき一般道に合流し我々の継続登攀は終了となった。

Daiに『赤岳山頂は行かない?』と聞くと。『誰に言ってんの行くわけ無いじゃん!』
そうですよね。

15:30

余韻に浸るでもなく、そのまま足早に展望荘まで降りた。
展望荘の陰で小休止をとり地蔵尾根に向かって出発した。

寒そうなお地蔵様に今回の山行も無事に行えた事に感謝し、手を合わせた。
お地蔵様に再会を約束し地蔵尾根を駆け下りる。

16:00

行者小屋

ここまでは良かった。が、行者小屋に着いた途端襲ってくる疲労感がすざましい。

ここから美濃戸まで下山できるか不安になる程だ。

私は食欲もなく、気持ちも悪かったのだが、少しでも腹に何か入れておか無いと最後まで持た無いと思いザックに手を突っ込み、行動食の残りを取り出した。

残っていたのは、大きなアンパンと小さなカレーパン。

疲労のせいで私の判断力は低下していた。

アンパンの大きさに負け。カレーパンを無理やり食べた。
やはり、ここはアンパンを半分食べるべきだった。そして私は更に気持ちが悪くなる。

それでもいつまでも此処にいるわけにもいかないので気力を振り絞りザックを担ぐ。

程なくして辺りは暗くなっていった。
ヘッデンの明かりを頼りに南沢を下山する。

そんな時、Daiが『誰だこんな計画したやつは!』
2人で爆笑し、そのおかげか折れかけていた心はなんとか折れずにすんだ。

南沢の下山をこんなに長く感じたのは初めてだった。

最後の堰堤が見え安堵した。

そして、やっと今回の山行が終わった。実に行動時間は約15時間。

駐車場に戻り、着替え車のシートに座った時。私は『人間こんなに疲れることができるんだな』と自分自身のことながら感心した。

今回の山行は達成感や充実感よりも疲労感の残る山行になってはしまったが、それでも計画通りに山行を遂行できたことは嬉しいことだった。

次の山行で、今回いじめた身体がきっと良い答えを出してくれることに期待したい。

最後に余談だが帰りの高速のSAでDaiが食べていたのはモヤシ味噌ラーメンだった。






































5 件のコメント:

  1. 親方お疲れ様でした!

    富士山と親方絵になってますね^_−☆
    阿弥陀北陵から赤岳主稜は、私が毎年毎年行きたいお山なんですよね!
    最近ではハイキングばかりで、ハードなお山ってしてないので見てたらウズウズしてきます。
    daiちゃんと親方って最高のコンビですね^_−☆

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    返信
    1. コメントありがとうございます。
      阿弥陀岳山頂の写真カッコいいでしょw

      それにしても今回の山行はハード過ぎました。
      来年は、もっと余裕を持って出来るように日々精進しますwww

      削除
  2. 今までの山行でイチバンしんどい南沢ですたorz
    行動時間12時間超えはもうヤメようね(笑)
    お互いおっさんなんだから。

    返信削除
  3. なまった身体は正直ですね。
    今一度、キッチリトレーニングして12時間以内に戻って来られる
    身体をつくりましょうか?

    返信削除

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